今週、ある事業家からの〈口述自伝制作〉の相談があり、この秋から具体的に進めていきます。
食事をしながら、このクライアントがこれまでどんな理念とビジョンを持って起業し、事業を拡大してきたか、そのライフヒストリーの概要について、いろいろ聴くことができました。
“凄まじい”の一言でしたね。1980年後半からのバブル時代の栄華、崩壊した後の地獄のような日々。人との出会い、家族の信頼、運の強さ。現実の苦しさに負けずここまで頑張ってきた。そして巨額の借金を昨年全て返済した話など。
〈ライフヒストリー良知〉は、予めクライアントの誕生から現在に至るクライアントの人生の物語について質問項目を提示し、記憶の整理をして頂きます。
その内容をより細かく訊きながら、クライアントの語りをヒアリングし、レコーダに録音していく。この繰り返しです。このときもっとも大切なのは、ライフヒストリアンの事前調査や知識に基づく質問する力ですね。
そしてレコーダから文字を起こし、日本語の表現技術を駆使してわかりやすく読みやすい文章に仕上げていく。小説のような着飾ったものは必要ないけれど、語彙の多様性はとても大切です。
そして、文章を時には寝かせながら、何度も何度も推敲していく。
ホームページ形式にして、誕生期・幼少期・学生期・青年期・壮年期・老年期の各時期に区切って書き入れていく。忘れてはならないのが子孫や後世に遺したい言葉を書き綴ることですね。
ホームページには、各年代に残されている大切な思い出の写真、賞状や絵なども撮影したり、若い頃書いた日記や論文なども一部書き写し、また、今回インタビューした肉声などもアップできるようにします。
これまで思い出せなかった記憶がある日突然、脳裏に浮かぶ事があります。そんな時は新たに文章にして書き加え、思い違いや記憶のエラーが出てきたら、しっかり修正していく。
従って、すぐさま本にはしないのです。いつでもどこでもスマホで見られるものにして加筆し手直していきます。これを繰り返します。
そして最後に、クライアントがこれまでいちばん好きだった写真や言葉などを表紙にしたハードブックに仕上げていくのです。
この事業家のライフヒストリー。とても楽しみにしています。