前号に続き『自分史の魅力』について、心理回想法を伴う自分史や口述自伝の作成によって得られる、脳や心理への影響や効果のことを医学的に解説しますね。

身近な高齢者が、自慢話をいろいろするとしたら、その前提に社会から否定されている、人として低い価値に見られていると感じる、そのつらさがあると想像してみよう。
例えば、高齢になって仕事を離れると、「無職」と書かれる。「会社員」って書かれるのと「無職」って書かれるのと、自分だったらどういう気持ちになるだろうか?
「無職」というポジションに対して、「職にも就いていないんだ」と、下に見るイメージが、どこかにあるのではないだろうか。
その「無職」に自分がなってしまったと思うと、やはりすごく辛いと思わないか。
そうであれば「今は退職しているが、社長にまでなったんだ」とか、「若い頃はバリバリ働いていたんだ」とか、自慢の一つも言いたくなるよね。
現代は、かつてなく高齢者の価値を低く遇する社会になっているだろう。
昔は長生きしただけで凄い、いろんなことを経験してよく知っている、時には煙たがられても、何かあったら相談に乗ってもらえる貴重な存在、それが高齢者の立場だったのだ。
高齢だからできないことがたくさんある。例えば瞬発力や記憶力、身体的な体力も落ちる。
それは年齢によって誰者が通る道であって、当たり前のことだというのを、若い世代が受け入れる。きちんと受け入れて、自分たちは若いから体力もあるし、記憶力もある。
だけど経験はない、知識がない、持っている者が違うだけで、自分たちもいずれ必ず通る道なんだと理解して接すると、もっと交流が深まるだろう。
自伝や自分史を書いて、周囲と若い頃の話をするのは良い事だ。
自分自身で「こんなにいろいろやってきた自分」を確認するのは自己肯定感を高めることに繋がる。自己肯定感が高いと自慢話をしなくても物足りないと思わなくなる。
自伝や自分史は、若い世代にも高齢者世代の価値をわかってもらう、一つのツールになるだろう。

次回、さらに続けて書き記していきます。
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ー続くー