2025年5月1日、『日本オーラルヒストリー学会』の入会が承認され、正式に活動する運びとなりました。本会の【趣意書】は以下の通りです。

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日本オーラル・ヒストリー学会

〔Japan Oral History Association (JOHA)〕

🔴URL:http://joha.jp/category/pub

【趣意書】

「日本オーラル・ヒストリー学会(JOHA:Japan Oral History Association)」は、口述史資料を扱う日本の研究者だけでなく、ジャーナリストをはじめ口述記録を収集してきたさまざまな分野の実践者が、国内外へ情報を発信し、ジャンルを超えて相互交流し、方法論を研鑚して理論研究もできる場として、設立することになりました。

口述の歴史や語りを記録・保管し、後世に残すことの重要性は、20世紀後半から急速に増し、その技術も飛躍的に発展しました。

インタビューなどの手法で口述史資料の収集を行い、それを活用している人は、今では研究者、ジャーナリスト、その他の分野の人々を含めて、日本内外で数え切れないほど存在します。

わが国では聞き書き、生活史、口述史などの名称で古くから用いられた手法から、近年広まりつつあるオーラル・ヒストリー、ライフ・ヒストリー、ライフ・ストーリーなどの手法を含めると、口述による記録は太古の昔から現在まで重要な役割を果たしてきたと言えるでしょう。

けれども、それを行ってきた人々は、職種や専門分野、目的が多岐に渡っているため、相互の交流や情報交換が難しかったといえます。

また、その質や手法の多様性のために、口述によって集められた情報や記録は、文字の記録を重視する人々から、その価値をあまり認められてきませんでした。

その間、欧米をはじめとする海外ではオーラル・ヒストリーが飛躍的に発展し、その価値が広く認知されるに至りました。

研究者、専門家が手法や利用方法を研鑚するとともに、大学、博物館、図書館では数多くのオーラル・ヒストリー・プロジェクトが実施され、アーカイブ (インタビュー・コレクション)を備えるのがごく普通になり、人々に広く利用されています。

オーラル・ヒストリーが広く認知されている国々では、実践者による全国規模の組織が立ち上げられ、国際的には International Oral History Association (IOHA)が結成され、活発な研究交流活動が行われています。アジアでは、シンガポール・インド・台湾などにおいて、オーラル・ヒストリーは学術分野として広く認知されています。

近年になり、ようやく日本の各地でオーラル・ヒストリーやライフ・ヒストリーの実践者や研究者が組織を作りはじめるに至りました。

しかし、さまざまな理由から、それらの組織が日本各地で活動する研究者、専門家から一般の人々までを視野に入れた全国的な交流組織に発展するのは、難しかった現状があります。

しかし、私たちオーラル・ヒストリー実践者は、それぞれの専門分野以外の実践者と交流する機会を求めていましたし、ジャンルを超えた全国的なネットワーク・組織の設立を望んでいました。

私たち『日本オーラル・ヒストリー学会(JOHA)』は多様なメディアの使用も考慮しながら、インタビューや音声史資料のよりよい保存、収集、利用方法を研究し、方法論を研鑚し、実践を行う人々のために各分野の相互交流を行い、口述史資料への理解が深まる場となるよう、努力していきたいと思います。