遺言書の付言事項とは?
遺言書とは、自分自身の想いを相続(遺贈)というかたちで示し、同時にそれを法的に有効なものとするツールです。
遺言書を通して、お世話になった人への感謝、家族や自分が大切にしてきたものへの気持ちや願いなどを伝えることが行われています。この文章を「付言事項」と言います。
私たちは、被相続人の人たちが生きてきた歴史や物語を書き著すなかに、それらを伝えることが大切だと考えています。
もうすぐ、「デジタル遺言」の時代がやってきます。遺言書の『付言事項』に、口述によって書き著した「デジタル自伝」のURLを記載することで、より詳しく皆さまの気持ちや願いが叶えられるようになります。
この「付言事項」について、行政書士の木本直美さんが、『付言実行』というタイトルで「遺言書に魂を込め幸せ相続を迎えるために」という副題で、遺言書の考え方や書き方、付言で伝える「被相続人の想い」などについて書き綴っています。
簡潔にまとめたのでご紹介します。
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1.遺言書で気づいたこと
①「遺言」する人の顔つきが全然違うこと。晴れ晴れとした明るい表情になること。
②「遺言」を書いた人は、人生最後の日を迎えたときに、「あれをしておけば良かった」「なぜこれをしなかったのだろう・・・」と後悔することがない。伝えたい相手に伝えたいことが伝わるよう「遺言書」で言語化できている。余裕をもってその日を迎えることができる。
2.ステップ
ステップ1 : まず、「付言」を思いを込める〔この中にデジタル自伝を入れる〕
①「遺言書」で何を実現したのか?
②誰にどんな思いを伝えたいのか?
③「付言」に法的な根拠はないので形式のこだわる必要はない。
ステップ2 : 遺言を書く
①「付言」に込められた想いが、「遺言」を書く理由。
②「付言」を具体化するように財産の分け方を決める。
ステップ3 : 遺言を書いたあとのこと
①「遺言」を書いたあと、安心して任せる場所や人を決める。
3.何のために、誰のために「遺言」を書くのか?
①「遺言」を書く理由は一人ひとり違う。
②書く理由が明らかになれば、「どんな遺言を書くか」は自ずと決まる。
③「遺言書」に求められるルールはそれほど綿密ではなく、幾つかの原則を守ればよい。
④「遺言書」には書き方のマニュアルがあるが、「付言」は被相続人の歴史と物語、その時々の想いや心情、人生観、家族に対する感謝や願望などに重点を置く。
4.「遺言書」とは?
①「遺言書」は、『生きた証』である。
②「遺言書」は、『表彰状』である。
③「遺言書」は、『ラブレター』である。
④「遺言書」は、自分の亡きあとの『代弁者』である。
5.「付言」の書き方
①人生の歴史と物語を書き記す。
②人生において解決できていない課題を書き記す。
③課題の解決案を書き出す。
④解決案により損をする人や配慮すべき人を書き著す。
⑤「付言」の書き出しと結びを書く。
⑥「付言」の主文を書く時の心構えが大切である。
・感謝と希望の言葉を伝える。
・端的な表現と婉曲的な表現を使い分ける。
・読む人を想いやる気持ちを込めて言葉を選ぶ。
・品位ある言葉や表現を使うように心がける。
⑦伝えたい相手を特定する。
⑧肯定的な表現に徹する。
6.遺言書に託すメッセージ
①特に伝えたい大切な情報を強調する。
②生前伝えきれなかった想いを伝える。
③特定の行動を促したり、注意を喚起することができる。
④最後のあいさつとして「遺言書」をきれいに締めくくることができる。
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次回、「デジタル遺言」について具体的に書き綴りますね。