欧米先進国では記憶の専門家という人たちがたくさんいますね。近年脳の機能を解明するf-MRIなどの機械や装置類が開発されて以来、記憶研究に関する成果がいろいろ世の中に出てきている。

日本でも脳神経科学を専攻する大学の先生や学者を中心に、飛躍的な研究が進んでいるけれど、欧米の記憶の専門家にはジャーナリストもけっこういるんですよ。

どちらかというと脳とか記憶というのは難しい言葉が列挙されて、なかなか理解できないことが多い中、彼ら彼女らはたいへん易しい表現で、脳や記憶のことをわかりやすく説明してくれます。

僕は、口述自伝制作事業ライフヒストリー良知の仕事を推し進めていくうえで、これら記憶の専門家が書いた論文や書籍などからいろいろな知識や知恵を授かることが多い。

そんな研究のひとつに『信念と記憶力の相関』というのがあります。

記憶力は加齢により減退するするというのは当たり前のように世の中に行き渡っている。面白いことに、歳を重ねるにつれて記憶力が悪くなるという考えが広まっている文化圏では加齢による記憶の低下がみられる。

ところが、そんな考えが広まっていない、というか知らない文化圏では、加齢による記憶力の低下は見られない。」というのです。

これはどういう事かと言うと、加齢によって記憶力が低下するという信念を持つことによって記憶力が低下しやすくなり、歳を取っても記憶力は衰えないという信念を持つことで記憶力は保持される、人によっては向上することさえある、ということなのですね。

考えてみれば、私たちは生活するなかで、この信念に強く規定されていますよね。私たちは自分の信念を守るために考え行動し判断する。ときには敢えて困難な道を選ぶこともあります。

記憶力が悪くなることへの不安はたくさんの人たちが抱いています。信念記憶力に影響するのなら、「記憶力は年と共に衰えていくという信念を私は決して持たない。」という信念をいかに心に刻むか、これが大切なんでしょうね。

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