インタビューにおける質問/応答の類型について例示します。

1.導入質問インタビューの最初にする質問である。「・・・について話して頂けますか」、または「あなたが生まれてから今に至るライフヒストリーについて、お話して頂けませんか」など。インタビューの途中で、新しいトピック(話題・話のネタ)を入れる際、「さきほど少し触れられた出来事で、あなたはどんな経験をなされたのですか」というようなかたちで使われる。

2.フォローアップ質問語り手である顧客の話は、インタビューの応答を通して長くなっていくが、そうした語りを中断させないように促すことが重要である。何よりも、語り手が何に関心を持っているのかがわかるからである。

また、「お話の中の・・・はどうなりましたか」という直接的な質問ではなく、うなずきや「えぇ」「はい」といった相づち(これを傾聴マーカーと呼ぶ)なども語りをサポートしている。ただし、こうした傾聴マーカーは、インタビューの語りを知らず知らずのうちに強制していることもあるから注意を要する。

3.探索的質問「それについて、もう少し詳しく話してくれませんか」「それについては何かご存じですか」など、さらなる展開や新しいトピックの語りを促すときに使われる。

4。明確化質問「そのとき、どう思われましたか」「こんな経験はこれまでありましたか」など、詳細な描写を求めたり、出来事についての感情や評価を期待するときに利用される操作的な質問である。

5.直接的質問「それでお金をどのくらい儲かりましたか」「そのときの収入はいくらでしたか」など、語り手が語らなかったことについての、この種の質問は、インタビューの終りの方で、語り手の自発的な描写が終わってから行われるのが一般的だ。

6.間接的質問語り手に直接的には訊き難いことでも、他者のついての意見や一般論としてなら間接的に訊くことができる。「浮気した経験はありますか」とは訊けなくても、「浮気についてどう思いますか」は訊くことができる。

7.ストーリー化ライフヒストリーインタビューでは、語られることはほとんどストーリーになっている。例えば、性別分業一般について意見を述べているときに、語り手の男性に家事参加の経験を具体的に語ってもらうようにするなど、性別分業についての語り手の体験ストーリ―化を促すことになる。

8.沈黙インタビューは、しばしば沈黙に我慢できなくなったり、沈黙になるのを心配したりする。とりわけ、不慣れなインタビューは、沈黙が苦痛で、空白にならないようにあわてて次の質問を発することがある。

しかし、会話における休止は、語り手が構成している途中の反省や連想に必要な時間かもしれないのである。沈黙に耐えられず、別の質問をしたら決して訊けなかったことが、これから語られる準備段階であるかのしれない。

9.解釈的質問解釈といっても「あなたの仰っていることは・・・ということですね」、或いは「あなたが・・・だ、と考えてもよろしいですか」というように、語り手の話を基本的に繰り返して、確認をとったり、明確化したりする質問である。

以上が、基本的な質問の類型ですね。