聞き書き作家として有名な小田豊二さんは、聞き書きでの「語り手」と「聞き手」の関係は『太鼓』と『撥』のようだと言っていますね

「語り手」が『太鼓』で「聞き手」が『撥』です。『太鼓』はどんな時でも『太鼓』ですが、『撥』が変わると出る音が違いますから。

つまり、「聞き手」が違えば、「語り手」の話すことが変わるということです。『撥』が細かったり小さかったりすると、いい音が出ませんね。だけど、逆にいえばこれまでなかったような繊細な音が出るかもしれません。

大切なのは、『太鼓』である「語り手」をどう叩けば、いい音を出すことができるか、なのです。語り手にいかに気持ちよくしゃべってもらえるか。

「語り手」はいったん自分が話したいツボにはまれば、「聞き手」が特段何をしなくても、話はどんどん進んでいきます。無理な質問を考えることはありません。時間はあっという間に過ぎていきます。こんな時「話し手」との笑いや感動が生まれます。

だけど、これが実に難しいのです。これをいかにやさしく進めていくか、ですね。

これが私たち「聞き手」、すなわち“ライフヒストリアン”のやるべく大きな役割なのでしょうね。

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