国立研究開発法人・国立長寿医療研究センターリハビリテーション科医長の大沢愛子さんが、『自分史の魅力』という題名で、
心理回想法を伴う自分史や口述自伝の作成によって得られる、脳や心理への影響や効果について、医学的に詳しく執筆しているので、その概要を何回かに分けて紹介しますね。

自分史を書くのは、非常に良い脳への刺激になるので大賛成だ。
それが脳機能の衰え改善とイコールではないが、認知症など脳の機能が低下しているのに何もせずいると、より症状が進行していくリスクが高まる。
その意味では、何か新しいことにチャレンジするのはすごく良い脳への刺激になる。
苦手になっている「思い出す」ということに取り組むのは、脳のトレーニングに繋がる。
「自分たちはこうだったんだ」というような話を人に伝えようとすることは、一人で思い出すことに加えて、他者とのコミュニケーションを取ろうとする、「思いの表出」というものに繋がる。
それは言葉でも構わないし、文章でもいい。そういう生産性のある作業そのものが、脳にとってはとても良いこと。
さらに、「自分たちの時代はね」とうことを若い人たちに伝えていく、大きな言葉でいうと社会的使命。
私たちはこうやって生きてきたんだってということを残していきたい気持ちは、人として誰もが持っているごく自然なものだと思う。
家族がいる人だけでなく、家族がいない人も、その思いを表出して頂きたい。家族に読まれるだけでなく、周囲の人みんなに「何かを残す」という気持ちで書いてはどうか。
高齢者が自分の人生を自慢したくなることには理由がある。
歳を重ねると「軽度認知障害」などが起こる。若い時に比べてできないことが増えてくる。
身体もそう、認知機能もそう、そのところで、「まだ自分はできるんだ」とか、「若い人にはない、すごい経験をしてきたんだ」というのは、伝えたくなる。
「高齢者」という枠でひとくくりにされることが多くなる中で、自分という一人の人間の存在、自己肯定感や満足感、人生の達成感、そういったことを人に伝えたくなる。
また自分に対しても「自分たちはっこういったことをやってきたんだ」と再認識し、「今できなくてもしょうがない」という思いをプラスマイナスで相殺するのだ。

次回、この続きを書きますね。
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