「回想脳/〔懐かしさ〕が脳に良いことがわかってきた」をテーマにした投稿については、近年、脳科学や心理学の飛躍的な進歩や発展に伴い、数々の研究成果やエビデンスが発表されているので、これからも、引き続き書き記していこうと思います。

ところで、保阪正康という作家が、《自伝の書き方》という書籍をかなり昔に出版しています。口述自伝制作の事業を展開するあたってひじょうに参考になる内容なので、その骨子を少し紹介しますね。

保阪は、「近代人はなぜ自伝を書くのか?いや書きたがるのか?」という根源的なところから筆を進めています。

結論から言うと、「書きたいから」と「書きたくないから」のいずれかによって、人は自伝を書いていると言い放っているのです。

「書きたいから」というのはよくわかりますが、「書きたくないから」というのはどういうことでしょう。これについては、次回お話します

保阪は、「書きたいから」を詳しく分類していますね。それによると、

(1)自分の人生を書きとどめておきたい〔内的衝動〕

(2)自分がいかにして成功者になったか〔自己誇示〕

(3)自分の人生を子孫に伝えたい〔教訓〕

(4)自分の歴史的役割を遺しておきたい〔記録性〕

(5)自分の特異な体験を広く後世に伝えたい〔特異性〕

すべての自伝の根底に〔内的衝動〕があると言っていい。けれども、これにのっかかる部分の〔自己誇示〕や〔教訓〕などが多いか少ないかによって、それぞれのパターンに分かれていくと述べています。

一方で、「書きたくないから」という理由は何なのでしょうか?