現在、僕の会社のホームページ上に、昭和元年から平成31年までの年表を作成しています。政治・経済・国際・文化・社会・世相・トッピクスなどに分けて、その年の何月何日に何が起きたかを、それ専用に作ったソフトウエアに細かく書き込んでいます。

そこには、その年に流行った言葉や歌、ヒットした映画や本などを書き入れ、またオリンピックでメダルを取った選手の名前や、プロ野球やJリーグで優勝したチーム名なども挿入していきます。

最終的には、このサイトに来れば、その年のことが一目でわかるようなものにしていきたいと考えています。なぜこれをやるとか言えば、お客様の脳の中に記銘されている記憶を蘇らせるためです。詳しくは、またご説明したいと思います。

ところで、最近、自分のお父さんやお母さんのライフヒストリーを書いて残したいという方が増えています。

「お父さんが認知症になって、このままだと何も残さず死んでしまいそうなので、せめて若い頃に頑張っていた父のことを孫たちに伝えたい。」とか、「寝たっきりになったお母さんの昔のことを知りたいんだけどわからない。何かいい方法はないですか?」など。

でも、率直に言って、そのような方々が体験した出来事や昔考えたことを確認したり把握するのはまず不可能ですね。

そういう時は、「あなたのお父さんやお母さんが生きてきた時代のことや体験したこと、その時の思いなどがまったく聴けずわかりません。でも私たちライフヒストリアンはお子さんであるみなさんから聴いた情報を基に、その方のライフヒストリーを創作することはできます。それでもいいですか?」と答えます。自伝を創り出す、いわばフィクションとして世に送り出すことになりますね。

考えてみれば、作家が昔の英雄豪傑を題材にして小説を書くときは、今に残されている資料を基に、その作家が創造力と想像力をたくましくして文章にしますよね。それと同じなのです。それが事実であるかどうかはともかくとして。

有名ならざる無名の人たちの〈創作自伝〉があってもいいと思います。そのことで、お父さんやお母さんへの親しみが呼び起こされたり懐かしの気持ちが湧き出てきたり、孫たちがお祖父ちゃんやお祖母ちゃんを尊敬したり思慕する心が生まれてくるなら、とても素晴らしいことだと思うのです。