現在展開している口述自伝制作〈ライフヒストリー良知〉のビジネスで、顧客が歩んできた歴史や物語を聞き書きする上で、必然的にその方が持つ記憶に対する関心が強くなります。

これまでの経験から、顧客の記憶を辿るとき、つくづく「過去というものは変えられるなぁ」と確信しています。

つまり、記憶とは過去の記憶ではなく、過去を生み出す機能であると考えた場合、〔過去の解釈を変えること〕によって過去は変えられるということなのです。

人それぞれ生きる中で、失敗、挫折、苦難、逆境が必ずあります。それらを振り返るときそれをどう解釈するか。「それは意味があった」「そのおかげで強くなれた」「よき人生を送らせるための導きであった」と肯定的に、また楽観的に考えることによって過去は確かに変えることができますね。

過去を見る視点を変えれば、過去を塗り替えられる。過去を前向きに捉えれば明るい未来予想図を描くことができます。創造とか発想は、天から降ってくるわけではありませんね。自分自身のなかにそのヒントとなる記憶が潜んでいて、その記憶の結び付きによって創造や発想が生まれてくるのです。

また、問題解決能力とは、過去のエピソードをどれだけ活用できるかにかかっています。過去の記憶が利用されやすいように、きちんと整理されておけば、現在の状況がよくわかり、最善の対処法を打ち出すことができるでしょう。

直観力とは自分の経験したことや覚えてきた知識の中から、瞬間的に取捨選択し、判断する能力のことです。つまり、あらゆる判断の背後には記憶が存在し、「記憶とは単に過去を振り返る機能ではなく、未来を見通す心の機能であると同時に、現状をとっさに見抜く心の機能でもある」と言えるのです。

このように「過去は変えられる」と信じて、どんなことがあっても後悔なき人生を歩んでいきたいものですよね。