古来、ライフヒストリーや聞き書きは歴史を遺す手段として盛んに行われてきました。それが今、インターネットの普及や記憶装置の技術進歩などによって次の段階に入ってきましたね。

『世の中のすべての物事の進歩や発展は、右肩上がり一直線ではなく、あたかも螺旋階段を登るようにして進歩・発展していく。』これが〈螺旋的発展の法則〉です。

螺旋階段を、遠く横から見ていると人が上に登っていくのがわかる。しかし、これを高く上から見ると、この人は螺旋階段の柱の回りをぐるっと回って元の所に戻ってくるように見える。まるで昔の場所に復活・復古しているように。

つまり〈進歩・発展〉と〈復活・復古〉が同時に起こるのです。

昔の人たちは、その時代の出来事や偉人が語った言葉を遺すために、記憶し、持ち帰って想起しながら、木簡や竹簡、なめした動物の皮の上に一言一句丁寧に書き記しました。

その膨大な情報を頭の中に貯蔵することができたのです。凄まじいばかりの記憶力ですね。

しかし今は、スマホがあり、レコーダーがあり、パソコンがあり、コピー機があり、そしてAI(人工知能)の音声認証などが普及しているため、その必要がなくなりました。

しかも創出方法は紙でなくとも、インターネットで数多くの人たちに見せられるようになっています。

これらの技術の進歩・発展によって、かつての司馬遷の《史記:太史公(たいしこう)自序》、福沢諭吉の《福翁自伝》、或いは勝小吉の《夢酔独言》のような個人の生活史や思想信条の価値が復活・復古しています。

今後、より多くの無名の人々のライフヒストリーが描かれていくに違いありません。そしてこの〈螺旋的発展の法則〉は、この分野にもしっかり適応していくでしょう。

現在、「自分史を書いて子孫に残そう」というキャッチコピーで、たくさんの出版社や新聞社、企画会社などがこの分野に参入してきています。1980年から90年代にかけて起きたようなブームがまた訪れようとしていますね。

「自伝制作マーケット」というべき市場が広がる兆しが見えます。事業機会が増えるので、私たちにとってたいへん喜ばしいことですが、反面、非常に厳しい競争に直面します。

私たちは、顧客の課題が何であるかを深く見極め、その解決に向けて、どこにも負けないアイデアを発揮しながら最適なビジネスモデルを確立し、この市場で挑み続けています。