〈ライフヒストリー良知〉の事業を展開するうえで大切なことのひとつとして、〈語彙力を鍛える〉というのがあります。語彙力については、国語学者の石黒圭さんの話がいちばんわかりやすいので、そこからいろいろ引用していきますね。
さて、語彙とは何でしょうか?
一言で言うと語彙とは語の集まりのことですね。語彙は複数の語からなるもので、単語は語であっても語彙ではありません。
では、語とは何でしょうか?
語は、一般的に内容語と機能語に分かれます。内容語とは、名詞・動詞・形容詞など実質的な意味を持つ語であり、日本語の場合、漢字やカタカナ名で表記されることが多い。
一方、機能語とは、助詞・助動詞・感動詞・接続詞など文法的な機能を持つ語であり、ひらがな名で表記されることが多い。
このうち内容語を扱う能力のことを語彙力と呼び、方や、機能語を扱う能力を文法力と呼んでいます。語彙力と文法力は、いわば車の両輪で、この2つがそろってはじめてスムーズな言語運用が可能となるのです。
文章を読む読解力や、文章を書く文章力をつけるには、この語彙力と文法力を鍛えることが不可欠なのですよ。
しかしながら、鍛えるといっても文法力はさほど必要がありませんね。というのは、日本語を第一言語とする者であれば、文法力は自然と身についているいて、すでに頭の中で自動化されているのです。
けれど、語彙力は一生にわたって鍛える必要があります。そのためには文章を読んだり書いたりすることがとても大事。必要に応じて言語の意味や用法を使う習慣につけることでしょうね。
さらに、語彙には、理解語彙と使用語彙があります。
理解語彙は聞いたり読んだりしたときに、語形から意味を呼び出せる語の総体を言い、使用語彙とは、話したり書いたりするときに使える語の総体のことです。
語彙力を考えるとき、理解語彙と使用語彙を分けて考えたほうが合理的ですね。その性格がかなり異なるからです。
理解語彙の特徴としては、
1.使用語彙よりもはるかに数が多い。
2.語形の記憶があいまいであったり、語形と意味の結びつきがおぼろげであったりしがち
3.頭の中にしか定着しておらず、語形から意味を想起できない未知語であっても意味に結びつくかがかりがあれば、そこから類推して理解語彙になる可能性がある。
使用語彙の特徴としては、
1.使用語彙は理解語彙よりもずっと少ない。
2.語形が正確であるだけでなく、語形と意味の結びつきも明確。
3.話し言葉と書き言葉の違いなど使われる環境との調和を考慮する。
使用語彙では、読み手に違和感を与えないことが重要で、読み手の知識や文脈、感情などに配慮することが求められます。読者に対する思いやりがほんと大切ですね。
これらのことをしっかり頭に詰め込みながら、語彙力を強化していくのです。
語彙力=語彙の量(豊富な語彙知識)×語彙の質(精度の高い語彙運用)
語彙力とは、つまりこの等式ですね。
語彙力については、これからもより広く深く究めて、できる限り簡単に易しい言葉でお話していきたいと思います。