『自伝的記憶』という記憶があります。これは、現在、大学の心理学分野でさかんに研究されていますね。

記憶には『短期記憶』と『長期記憶』がある。保存されている期間が短い記憶が『短期記憶』で、長い記憶が『長期記憶』。一般的に30秒から長くても数分程度までの記憶が『短期記憶』で、それよりも長い記憶を『長期記憶』として区分されているのです。

この『長期記憶』のなかで、自分の過去の経験や出来事のことを『エピソード記憶』といい、知識など抽象的な記憶を『意味記憶』いう。また、歩いたり、箸を使ったり、体で覚える記憶のことを『手続きの記憶』として分けています。

この『自伝的記憶』とは、『エピソード記憶』のなかで、特に個人の歴史や物語に関わる記憶のことを言うんですね。

そのためにいろいろな手がかりを探りだします。今に残された写真や映像、日記や手紙などがそう。子供のころよく遊んだ自然豊かな山や川、学校の校庭や近くの公園。汗水たらしながら仕事をした職場や工場の風景。懐かしい森や田園の香り。食べ物の匂い。

ライフヒストリー良知の仕事とは、人々の脳に潜在的に残されている『自伝的記憶』を想起させることに他ならない。コミュニケーションや聞き書きによって、お客様のこの『自伝的記憶』を向上させていきたいですね。

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