古来、ライフヒストリーや聞き書きは歴史を遺す手段として行われてきました。それが今、インターネットの普及や記憶装置の技術進歩などによって次の段階に入ってきました。
『世の中のすべての物事の進歩や発展は、右肩上がり一直線ではなく、あたかも螺旋階段を登るようにして進歩・発展していく。』これが螺旋的発展の法則です。
螺旋階段を、遠く横から見ていると人が上に登っていくのがわかる。しかし、これを高く上から見ると、この人は螺旋階段の柱の回りをぐるっと回って元の所に戻ってくるように見える。まるで昔の場所に復活・復古しているように。つまり、〈進歩・発展〉と〈復活・復古〉が同時に起こるのです。
昔の人たちは、その時代の出来事や偉人が語った言葉を遺すために、記憶し、持ち帰って想起しながら、木簡や竹簡、なめした動物の皮の上に一言一句丁寧に書き記しました。その膨大な情報を頭の中に貯蔵することができたのです。凄まじいばかりの記憶力です。
しかし今は、レコーダーがあり、パソコンがあり、コピー機があり、そしてAI(人工知能)の音声認証などがあるため、その必要がなくなりました。しかも創出方法は紙でなくともインターネットで数多くの人たちに見せられるようになっています。
これらの技術の進歩・発展によって、かつての司馬遷の史記、福沢諭吉の福翁自伝のような口述による個人史の価値が復活・復古しています。そして今後、より多くの無名の人々のライフヒストリーが描かれていくに違いありません。
螺旋的発展の法則は、この分野にもしっかり適応していくでしょうね。