希望の新年を迎え、皆さま、明けましておめでとうございます。
古代インドには、人生を4つの時期に分ける【四住期】という考え方があります。
【四住期】とは、即ち〔学生期〕〔家住期〕〔林住期〕〔遊行期〕の4つ。中国にも似た言葉がありますね。〔青春〕〔朱夏〕〔白秋〕〔玄冬〕の4期。
現代での年齢でいうと、おおよそ〔学生期〕は0~25歳、〔家住期〕は25~60歳、〔林住期〕は60~85歳、〔遊行期〕は85歳~と僕は考えていますが、もちろん人によって年齢幅はいろいろでしょう。
一方で、人生を登山と考えるなら〔学生期〕や〔家住期〕は、一生懸命山の頂点を目指してきた時代であり、〔林住期〕と〔遊行期〕は、いよいよ山から下りて、もと来た道をたどる時期のことですね。
言うまでもなく、登山には必ず下山が伴います。山頂を目指してきたけれど、それを極めた人ばかりではないでしょう。
「もう少しで山の頂きだ」「あとひと踏ん張りだ」と思っていたのが、暴風や豪雨で山頂に行きつくことができなかった人たちも少なくない。
山頂どころか、山の5合目とか7合目くらいで挫折して、無念にも山を下りざるを得なくなる人たちもいます。
今、僕たちやその上の世代は、これまで登ってきた道を反転し、山のふもとに向かって歩いています。登っているときの姿勢や気持ちが違いますね。何しろ目指しているのは頂点ではないのですから。
これまでは、必死に上だけを見てきたので、下界など振り返る余裕なんかなかった。
けれども、下り道では遠くの青々とした海を眺めたり、眼下には緑いっぱいの平野やきらびやかな街並が広がっています。登るときには気づかなかった可愛い花を見つけたり、小鳥のさえずりを聞いたり。
僕は、そんな下山の道を歩く人たちの横にいて、一緒に歩きながら、その方の語りを楽しく面白く聴いてうなずいているのです。今年もそういう日々が続いていくでしょう、きっとね。
皆さま、本年もよろしくお願いします。