口述自伝〈ライフヒストリー良知〉事業を推進するうえで、顧客から数々の語りを聴く過程において、顧客がカタルシス効果を得てすごくいい気分になっているなと感じることが多々あります。

カタルシス効果とは何か?

カタルシス効果とは、「精神の浄化作用」と訳され、心の中にあるモヤモヤを解放してスッキリさせる状態のことです。カタルシス効果は、精神分析学の創始者として有名なオーストリアのジグムント・フロイトが、精神分析療法の一環として活用されるようになりました。

悲しみや怒り、悔しさや失望など、ネガティブな感情を自分の心の中に抑え込むと、強いストレスを感じるようになります。そんな時、家族や友人に愚痴として話をすると気持ちが楽になり、立ち直りが早くなります。

心理カウンセリングの世界では、治療において患者との信頼関係を構築し、患者が本音や悩みを打ち明けやすい環境を整えることがたいへん重視されていますね。もちろんカタルシス効果は、カウンセリングの場だけで生まれるものではありません。

では、一般的には、どんなときにカタルシス効果が起きるのでしょうか?

例えば、日常の生活において、友人に悩みを相談して辛い感情を打ち明けているとき、泣きそうになる。これは、自分の悩みを言葉にして出すことで心が浄化されるため、緊張が解けてホッとしたり、自分の本音に気づいてモヤモヤが晴れたりするからですね。

また、映像や音楽などの芸術に触れて、何か共感をすると、心が解放されて感動することがあります。思わず涙が出たりしますね。芸術は、言葉にできない感情を表現する手段でもあるため、言葉よりも強く心を動かされるケースも珍しくない。

これこそが、カタルシス効果なのです。

〔精神分析学の創始者ジグムント・フロイト〕