自伝的記憶〉とはライフヒストリーを構成する記憶のことです。自分自身の行動や身に降りかかった出来事の記憶や関わってきた人々の記憶、所有してきた物への記憶、育った場所の記憶なども含まれますね。

著名な心理学者の榎本博明さんは、「〈自伝的記憶〉が人が生きる上での判断や課題解決に大きく関わっている」と言います。

物事を判断するのは、何らかの基準が必要。その基準はどこにあるのか?それはこれまでに経験した事、見聞きした事、人から得たアドバイスや勉強した知識など自分の記憶にある。自分の記憶から関連する事柄を引き出し、現状と照らし合わせて、最も適切な判断をくだしていく。

つまり、過去の成功体験や失敗体験の記憶は、現状を判断する際に大きな力を持つのです。肯定的なエピソードは、成功をもたらす方法を教えてくれる。また否定的なエピソードは失敗を回避する方法を教えてくれる。それらを参考にしながら、取るべき行動の選択肢を絞っていく。

良い未来を手に入れるには、過去から現在に至る人生の流れが上向きになるように、自伝的記憶を整理していく必要がありますね。

「このようなケースで以前こうしたらよい結果になった。こうしたら失敗した。このような方法で打開できた。こうしたら泥沼になった。」こんな過去のエピソードを参照しやすいように。

そして〈自伝的記憶〉を参照するには、個々のエピソードが具体的に想起されなければなりません。ときどき過去を振り返って〈自伝的記憶〉をアクセスする習慣を身につけることが大切です。

ライフヒストリー良知は、顧客が持つこの〈自伝的記憶〉を想起させるために存在すると言っても過言ではありません。〈自伝的記憶〉を引き出すことで未来への明るい展望が開けてきます。それはこれから頑張って生きるという気力を沸き立たせることでもあるのですね。