高齢者に対する〔介護・認知症予防〕や〔心理的支援〕に関して、いろいろなアプローチがあります。

高齢者が過去を思い出し語ることによって、心理的な援助を行う〔回想法〕は、福祉や介護予防事業のプログラムとして位置づけられていますね。

この〔回想法〕は、〔一般回想法〕と〔ライフレビュー〕の2つのタイプに区分されます。

〔一般回想法〕は、レクレーションを目的にした方法であり、主にグループで行われます。

これに対して、〔ライフレビュー〕は個別に実施され、人生の評価と洞察を促すとことによって、心理的効果を導き出す援助方法ですね。

昔は、高齢者の過去への回想はネガティブなものと見られていたけれど、アメリカの精神科医ロバート・バトラーが、「人生を振り返って回顧することは、高齢者に自然に起こる普遍的な精神過程であり、心理的に重要な意味がある」と主張したのです。

〔一般回想法〕は、近年、日本でもディ・サービスなどでレクレーションプログラムの一環として行われてきましたが、一方で〔ライフレビュー〕の普及はかなり遅れていますね。

しかし、現在米国では、〔ライフレビュー〕を心理療法として活用することを提唱したり、エリク・エリクソンによる〔自我の統合〕を達成させる手段として把握されてきました。

この〔自我の統合〕とは、「身体的、精神的、社会的に統合した自分自身を自覚し、自分のこれまでの人生を肯定的かつ積極的に受け入れること」を意味します。この〔ライフレビュー〕に関心が集まり、様々な研究と実践が行われていますね。

早晩、日本でも〔ライフレビュー〕が導入され、広く普及していくに違いありません。

ところで、この〔ライフレビュー〕を活用して作る冊子として〔ライフレビューブック〕があります。

これは、「高齢者本人の思い出や、それにまつわる様々な感情を丁寧に聞き取り、協力しながら綴る本やアルバム」のことです。つまり「コミュニケーションを図りながらも記録も作れるという回想法の応用編」ということになりますね。

この〔ライフレビュー〕や〔ライフレビューブック〕と、私が展開している《ライフヒストリー良知》や《ライフヒストリーホームページ》との関係性について、次回詳しくお話します。

因みに、私は〔介護福祉士〕の国家資格や、幾つかの〔心理カウンセラー〕の民間資格を有しています。高齢者の〔介護・認知症予防〕や〔心理的支援〕の視点からも、この事業を推進していきます。