話しことばと書きことば

〈ライフヒストリー良知〉は、お客様に〈話者〉となって語って頂き、ライフヒストリアンが聞いた言葉を文字にする、いわゆる〈聞き書き〉を進めていくことから始まります。

どの国の言葉でも〈話しことば〉と〈書きことば〉があるけれど、日本語の場合、その違いがとっても顕著で現れてきますよね。

まず〈話しことば〉と〈書きことば〉では、語彙が全く違う。〈話しことば〉は〈和語〉で易しい言葉がたくさんあって、〈書きことば〉は〈漢語〉で難しい言葉が多いのが特徴なんです。

ちなみに、〈和語〉とは日本古来の固有語で、〈漢語〉とは昔中国から入ってきた漢字を使った語種のこと。これに欧米からの〈外来語〉が入って、この3つの語種で日本語が成り立っているんですよ。

私たちは、日常的には〈話しことば〉が中心ですよね。でも、文章を書くときは、それを〈書きことば〉に換えていきます。

例えば、〈和語〉の名詞の《やり方》は、〈漢語名詞〉の《方法》に、〈和語動詞〉の《教える》は、〈漢語動詞〉の《指導する》に、〈和語形容詞〉の《いい》は、〈漢語形容詞〉の《適切な》に書き換えていきます。

つまり、《いいやり方を教える》という〈話しことば〉は、《適切な方法で指導する》という〈書きことば〉となるのです。

〈聞き書き〉の手法というのは、できる限り、〈話者〉の〈話しことば〉を大切にして、あまり〈漢語〉に換えず書き記していく。

話のくせや語尾、方言などを〈書きことば〉に改めないこと、つまりは〈聞き書きことば〉として、その方の生きざまや心の内などを引き出していこうと思っているのです。

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