なつかしさの心理学という心理学の分野があります。

高齢化社会に現在、人がなつかしいと思うとき、そのなつかしいものがなぜ好きになるのか、また、なつかしさの記憶などについて、いろいろな角度から実験などを織り交ぜて、研究機関は分析しています。

今、介護現場で進めている心理回想法というのはこのなつかしさの心理学をベースに行っているものですね。

その中で、なつかしさが私たちの生活において適応する機能については、次のようなものがあります。

(1)心理的なタイムトラベルとして、過去の世界に旅をして、現実のつらい気分を忘れたり、過去のつらい記憶をポジティブに変化させ、幸せな気分を高めたりする効果がある。

(2)自尊心や自己肯定感を高める効果がある。

(3)孤独感を低減し、社会的絆の意識を高めることができる。

(4)なつかしさのきっかけになる回想の場面では、幸せな気分を共有し、時間的な間隔を埋めることができる。

通常、なつかしさの手がかりになる多くのことは、時間的な経過とともに失われる運命にありますね。だけど、今はインターネットやユーチューブなどで、昔のなつかしい歌やドラマ、CMなど動画で簡単に検索できるようになったので、それらをうまく活用すればいいですね。

ライフヒストリー良知のホームページ上でもアップしていることですが、なつかしさの手がかりが増えれば増えるほど、その人の自伝的記憶は蘇り、それを記録し後世に伝えることができるのです。

このなつかしさの心理学について、これからも一層研鑽が進んでいくことでしょう。そのことがらの詳細について、この〈ライフヒストリー良知の世界〉でも順次、紹介していきたいと思います。